エリーゼのために

「エリーゼのために (Für Elise)」と言えば、かの有名なベートーヴェンの「バガテルイ短調 WoO59」のことである。
これは、ベートーヴェンが「エリーゼ」という人に贈った曲とされている。

では、「エリーゼ」とは誰なのだろうか?

有力な説としては、この曲は元々テレーゼ・マルファッティ (Therese Malfatti) という女性に捧げられた曲である、というのがある。
ベートーヴェンはかなりの乱筆で、彼が “Therese” と書いたのを後世の研究者が “Elise” と誤読したのが始まり、ということである。

ところが、近年の研究によると、実はこの曲が捧げられた相手はエリザベート・レッケル (Elisabeth Röckel) という別の女性である可能性があるという。
「エリザベート」であれば確かに愛称が「エリーゼ」であっても不思議ではない。

「エリーゼのために」を作曲したのはベートーヴェンが40歳の頃。
当時テレーゼもエリザベートも17~18歳程度である。

結局「エリーゼ」が誰だったのかは今となっては知る由も無いが、ベートーヴェンが20歳以上も年下の女性に求婚していた可能性は高そうである。

結論: 人の名前はちゃんと書きましょう。

余談: “Ludwig van Beethoven” の読み方

ドイツ語読みでは「ルートヴィヒ・ファン・ベートホーフェン」。
英語読みでは「ルドヴィグ・ヴァン・ベートーヴェン」。

日本で一般な「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」という呼称は、何とも中途半端な読み方である。