ローマ数字

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ローマ数字と言えば、古代ローマで成立した数の書き表し方である。
時計の文字盤等によく I, II, III, … と書かれている、あれである。
本稿では、そんなローマ数字の書き表し方について纏める。

基本的な書き表し方

ローマ数字の書き方は、原則としては次の通りである。

例えば 279 という値であれば となる。

さて、では「もっと大きな値」はどのように表したらよいのだろうか?

古いローマ数字による表し方

元々は小さな数しか扱えなかったローマ数字も、時代が下るにつれて大きな数の表し方も体系化されてきた。
中世以前のローマ数字では、次のような書き方が用いられていた。
(ここに挙げたものは代表的な書き方の例であり、実際には幾通りかのバリエーションがあった)

ローマ数字
100
500  ()
1,000  ()
5,000  ()
10,000  ()
50,000  ()
100,000  ()

このように、, , という3つの記号の組み合わせだけで幾らでも大きな数を表すことができる。
上の「基本的な表し方」で 500 を表すローマ数字は D だと書いたが、これは元々 がくっついたものだったのである。

因みに 1,000 を表す という記号であるが、これは今日の無限大の記号 の元になったと言われている。

現代の表し方

しかしながら、上述の方法では桁が増える毎に記号が伸びていって扱い辛い。
そこで、現在ではより簡便な表記方法として

数字の上に線を引いたら元の数の 1,000 倍を、更にその左右に縦線を引いたら 100,000 倍を表す

という表記方法がよく用いられる。
(この他にも上に2本線を引いて 1,000,000 倍を表すなどバリエーションはあるが、本稿では扱わない)

これに従うと、上の表は次のように書き換わる。

ローマ数字
100
500
1,000 または
5,000
10,000
50,000
100,000 または

1,000 を表す記号としては、普通 の代わりに が用いられる。

この表記法によると、例えば 1,989 は , 1234万 は となる。

他の表し方

上述の方法に従うと、例えば 499 という数はローマ数字では と表される。
だが、この 499 という数は 500 から 1 を減じた数なのだから、 と書けば短く済むように思える。

本来、このような略記法(?)は「正しい」ローマ数字ではないとされている。
しかし乍ら、例えば Microsoft Excel の ROMAN という関数を用いると、次のような結果が得られる。

499 のローマ数字表記

この ROMAN という関数は 1~3,999 の整数に対してそのローマ数字を返す関数であるが、
その第2引数の値を 0, 1, 2, 3, 4 と増やすにつれてだんだん簡略形の表記になっていく。
こうして見ると、略記法も全く市民権を得ていないという訳でもないようである。

ここで挙げた略記法の他にも、大きな数ほどその書き方のバリエーションは増えていくようである。

ローマ数字で表現できる範囲

以上のように、ローマ数字を用いて大きな正の整数を表すことは可能である。
では、他の数についてはどうだろうか?

そもそもローマ数字とは、古代ローマ人が羊を数える際に

                                       …
のように印を付けていたのが起源である。
ローマ数字はあくまで物を数えるために生み出された数字であり、高度な数学に用いられたものではない。
そのため、ローマ数字では 0 や負の数、小数等の「難しい」値を表すことはできないのである。
(一部の分数については書き方が無い訳ではないのだが、現在ではすっかり廃れてしまっている)