これは全ての三角形は二等辺三角形?に対する解説です。
以下、「AB > AC」とする(AB < AC の場合も同様である)。
「証明」における論理のウソは、至って単純なものである。
三角形の合同条件の適用の辺りが如何にもウソ臭そうであるが、そうではない。
そもそもの状況設定が誤りなのだ。
きれいに図を書くと、右上の図5のようになる。
「証明」では点Rが△ABCの内側にあるかのように扱っていたが、これは実際には△ABCの外側にある。
そのため AC = AR + RC ではなく AC = AR − RC であるので、「証明」は誤り。
ただこれだけのことなのであるが、一度考え込んでしまうとなかなか抜け出せない。
直線AOと辺BCの交点をSとすると、角の二等分線の性質より BS : CS = AB : AC である。
よって BS > CS であり、点B, P, S, C はこの順に並ぶ。《図5》
そのためには、点Oは△ABCの外側になければならない。
直線AOに関して点Cと対称な点をC'とすると、これは辺AB上にある。 《図6》
ここで、
• OB = OC
• OC = OC'
であるから OB = OC' である。
よって △OBC' は OB = OC' の二等辺三角形である。
従って、点Qはその頂角Oから底辺BC'に下ろした垂線の足であるから、線分BC'の中点となる。 《図7》
ここで、直線AOに関して点Qと対称な点が点Rである。
従って、《図8》の通り点Rは△ABCの外側にある。 ■