弁才天と弁財天

七福神と言えば、以下の7柱の神様である。

日本各地に「七福神巡り」の札所があり、身近かつ有名な神々であると言えよう。

さて、この7神のうち唯一の女性である「弁才天」であるが、「弁財天」という表記もよく見かける。
「弁才天」と「弁財天」、一体どちらが正しいのだろうか?

正解を言ってしまうと、どちらも正しいのである。

抑々、弁才天はインドのヒンドゥー教の神であった。
ヒンドゥー教においては、弁才天は音楽や言語を司る神として信仰を集めていた。

やがて弁才天は仏教に取り込まれ、そして日本に渡って来た。
弁才天が財産の神と見做され「弁財天」と書かれるようになったのは、日本に入ってからのことである。
(銭洗弁財天に代表されるように、今日の日本では弁才天は財産を司る神としても崇敬されている)

因みに前の記事で「弁」の字は元々6種類の字が統合されたものだと書いたが、
「弁才天」「弁財天」は正しくはそれぞれ「辯才天」「辨財天」と書かれる。
「辯才天」から「辨財天」へ―― もし発音が同じでなかったらこのような変化は起きていなかったのだろうか。

ところで、弁才天はヒンドゥー教の神だと書いたが、七福神の他の6柱の出身地は次のようになっている。

日本生まれの七福神は、恵比寿のみである。

因みに日本で神仏と見做されているものには、上述の他にも帝釈天や鬼子母神のようにインド土着の宗教から取り込まれたものも少なくない。