本ページは最長片道切符の流儀とバリエーションのサブページです。
本ページは、最長片道切符の一大派閥「IGR派」が発生した2002年12月01日以降の最長路の変遷を記します。
(2002年11月30日以前においても私鉄線の通過連絡運輸を含む最長片道切符というものは発券できた筈ですが、当時メジャーな流儀ではなかったようなので本稿では扱いません)
最長路の方向は、現在は流儀によって「南から北」だったり「北から南」だったりと分かれていますが、2024年3月以前はいずれの流儀でも「北から南」でした。
以降、2024年3月以前の最長路の変遷をエリア別に見ていきます。
東北地方の最長路は、以下の6つの契機で変化しました。
下表が各時点における最長路を図示したものです。
流儀 | 2002年12月01日– | 2010年12月04日–※1 | 2015年05月30日– | 2016年03月26日– | 2019年03月23日– | 2020年04月01日–※2 |
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JR派 | (営業キロ派) |
|||||
(運賃計算キロ派・ |
||||||
IGR派 |
※1 図中の岩泉線は2014年04月01日廃線。
※2 図は鉄道線派の最長路。BRT派の最長路は「2019年03月23日–」列のものと同じ。
南関東の最長路は、2010年03月13日の武蔵小杉駅の東海道線(品鶴線)ホーム設置の前後で変化しました。
同ホーム設置以前の最長路は下図の通りでした。
但し、「田端~池袋間で列車特定区間の区間外乗車による復乗を回避する」かつ「鶴見にて西大井以遠と浅野以遠とを乗り継ぐ経路は許容する※」という流儀を採用した場合、実乗可能粁程最長路は下図の通りでした。
※ 現在の相違点3(尾久問題/日暮里問題)と同様の問題が、当時は鶴見での乗継についても存在していました。(鶴見問題)
北陸地方の最長路は、以下の2つの契機で変化しました。
2015年03月14日の北陸新幹線長野~金沢間の開業まで、最長路の飯山~糸魚川間と富山~金沢間はいずれも在来線(飯山線・信越線・北陸線)経由でした。
北陸新幹線の開業により、これらは北陸新幹線経由となりました。
2024年03月16日の北陸新幹線金沢~敦賀間の開業まで、最長路の金沢~敦賀間は在来線(北陸線)経由でした。
北陸新幹線の開業により、これも北陸新幹線経由となりました。
大阪周辺における最長路は、以下の2つの契機で変化しました。
2004年03月13日に電車大環状線(旅客営業規則第70条)の規則が改正されるまでは、原則として大阪環状線内は最短経路で運賃計算をすることになっていました。
よって、現在では
…→久宝寺→天王寺→西九条→大阪→京橋→放出→…
である最長路が、改正以前は
…→久宝寺→天王寺→鶴橋→京橋→放出→…
という短い経路となっていました。
なお、鶴橋経由の乗車券でも西九条経由での乗車は可能だったため、この改正の前後で実乗可能粁程に変化はありませんでした。
2023年03月18日に大阪駅(うめきたエリア)のホームが完成するまで、東海道線大阪~新大阪間には分岐駅通過の特例がありました。
最長片道切符の券面経路が
…→久宝寺→天王寺→西九条→大阪→京橋→放出→…
であることに変化はありませんが、2023年03月17日までは大阪駅を通過する特急「はるか」「くろしお」を利用することで
…→久宝寺→天王寺→西九条→(大阪通過)→新大阪→大阪→京橋→放出→…
という経路での乗車が可能でした。
特例の廃止に伴い、実乗可能粁程が 7.6 km(大阪~新大阪間の往復分)短くなりました。
中国地方西部の最長路は、2018年04月01日の三江線廃線の前後で変化しました。
同線廃線前後の最長路を下図に示します。
※ 図中の小郡駅は2003年10月01日に新山口駅に改称。
なお、以下の経路特定区間については券面経路を図示しています。
九州地方の最長路は、以下の5つの契機で変化しました。
以降、各時点における九州地方の最長路を順に見ていきます。
2002年当時の九州地方の最長路を示します。
九州地方の最長路は、相違点1(営業キロ派/運賃計算キロ派/実乗可能粁程派)と相違点4(山陽新幹線の新在同一派/新在別線派)の組合せによって4通りのバリエーションがありました。
この当時は全ての流儀で終点は肥前山口駅でした。
相違点1\相違点4\相違点4 相違点1\ | 新在同一派 | 新在別線派A | 新在別線派B・C |
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営業キロ派 | 図イ | 図ハ | 図ロ |
運賃計算キロ派 | 図イ | 図ニ | 図ロ |
実乗可能粁程派 | 図イ | 図ハ | 図ロ |
2004年03月13日に九州新幹線新八代~鹿児島中央間が開業したことで、「運賃計算キロ派かつ新在別線派A」の最長路(図ニ)の終点が肥前山口駅から枕崎駅に移りました。
なお、「起点が稚内、終点が枕崎」の最長路に関しては、経路を逆順にして「起点が枕崎、終点が稚内」として発券・乗車することも可能です。
相違点1\相違点4\相違点4 相違点1\ | 新在同一派 | 新在別線派A | 新在別線派B・C |
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営業キロ派 | 図イ | 図ハ | 図ロ |
運賃計算キロ派 | 図イ | 図ニ | 図ロ |
実乗可能粁程派 | 図イ | 図ハ | 図ロ |
2011年03月12日に九州新幹線博多~新八代間が開業したことで、山陽新幹線~篠栗線の乗継に関する区間外乗車の特例で博多駅を通過した後、改めて博多駅を経由するという経路が最長路に現れるようになりました。
これにより、「新在別線派B」と「新在別線派C」の区別が生じるようになりました。
相違点1\相違点4\相違点4 相違点1\ | 新在同一派 | 新在別線派A | 新在別線派B | 新在別線派C |
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営業キロ派 | 図イ | 図イ | 図ロ | 図ハ |
運賃計算キロ派 | 図イ | 図ニ | 図ニ | 図ハ |
実乗可能粁程派 | 図イ | 図イ | 図イ | 図ハ |
2022年03月12日に折尾駅の高架化工事が完成するまで、鹿児島線折尾~黒崎間には特定分岐区間の特例がありました。
(但し、筑豊線との直通列車に乗車する場合に限る)
特例の廃止に伴い、折尾駅で鹿児島線と筑豊線とを乗り継ぐ経路(下図イ)の実乗可能粁程が 10.4 km(折尾~黒崎間の往復分)短くなりました。
これにより、「実乗可能粁程派かつ新在別線派A・B」の最長路に変化が生じました。
相違点1\相違点4\相違点4 相違点1\ | 新在同一派 | 新在別線派A | 新在別線派B | 新在別線派C |
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営業キロ派 | 図イ | 図イ | 図ロ | 図ハ |
運賃計算キロ派 | 図イ | 図ニ | 図ニ | 図ハ |
実乗可能粁程派 | 図イ | 図ニ | 図ロ | 図ハ |
2022年09月23日に西九州新幹線武雄温泉~長崎間が開業したことで、多くの流儀で終点が肥前山口駅(現・江北駅)から新大村駅に移りました。
新鳥栖以西の粁程が伸びたことで、枕崎駅を終点としていた幾つかの流儀においても終点が新大村駅に移りました。
相違点1\相違点4\相違点4 相違点1\ | 新在同一派 | 新在別線派A | 新在別線派B | 新在別線派C |
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営業キロ派 | 図イ | 図イ | 図ロ | 図ハ |
運賃計算キロ派 | 図イ | 図ニ | 図ロ | 図ハ |
実乗可能粁程派 | 図イ | 図イ | 図ロ | 図ハ |
2023年08月28日に日田彦山線添田~夜明間がBRTに転換された以降は、枕崎駅を終点とする流儀は無くなり、いずれの流儀でも終点は新大村駅となりました。
新在別線派A・B・Cの差異も無くなりました。